お知らせ
2024-05-24 18:22:00
まあ、そば打ち上達に関係あるのかないのか分からないですが、
ちょっと、コーヒーでも飲みながらお付き合いください。
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新井白石の「蕎麦麺」という漢詩についてです。
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先日、「いつかたこぶねになる日」(小津夜景:著、新潮文庫)
をぱらぱらと立ち読みしていたら
" 空気草履と蕎麦 "の章に目が止まる。
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新井白石の以下の漢詩の
著者小津夜景氏による翻訳が面白い。
きれいなそば打ちの景色が見えてきます。
新井白石もそばを打っていたのでしょうか。
蕎麦麺
落磨玉屑白皚皚
素餅団円月様開
蘆倒孤洲吹雪下
蓬飄平野捲雲来
鸞刀揮処遊糸乱
翠釜烹時畳浪堆
萊箙葷葱香満椀
肯将麻飯訪天台
蕎麦
石臼(いしうす)から落ちる玉屑(ぎょくせつ)はまっしろにかがやき
素餅にまるめた生地を満月にひろげてゆく
中洲(なかす)に倒れた蘆(あし)に雪が吹き下ろすかのように
麺棒(めんぼう)をよこたえて打ち粉をまぶし
平野を転がる蓬(よもぎ)が曇を巻きつけるかのように
麺棒をうごかして生地を巻きとる
美しい包丁で刻めば蜘蛛(くも)の糸となってみだれ
麗(うるわ)しい釜(かま)で茹(ゆ)でれば重なる波となってゆれる
大根おろしと長ねぎの香りが椀(わん)に満ちれば
なんで胡麻飯(ごまめし)を食べに天台山まで行く気になろう
*新井白石(1657明暦3年〜1725享保10年)
江戸中期の朱子学者・政治家(角川日本史辞典)
*漢詩出典(新井白石全集 第5巻1977年国書刊行会)
この漢詩の後の小津夜景氏の文章がこれまたいいのだが、
これは、どうぞ文庫本を手にとってみてください。
(HP担当 平賀記)